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レジリエンスを鍛えるために
前回はネガティブな感情をコントロールするのはレジリエンスによるもの、というお話で終わりました。今回はレジリエンスを高くするために何が出来るかについて見ていきたいと思います。
日本でのレジリエンス第一人者といわれる久世浩司さんによると、レジリエンスを高めるためには以下3つの段階を順に踏む必要があるとされているそうです。
①底打ち(ある出来事によって生まれたネガティブな感情が底をつくこと)
レジリエンスが高くないと、いつまでもネガティブな感情に囚われ、なかなか底をつくことがありません。レジリエンスを高めるためにはいち早くネガティブな感情が底をつく必要があります。そのために、以下のことをすると底打ちを鍛えることができるとのことです。
A:感情のラベリング(感情を言葉にして表す)
「イライラしている」「絶望している」「最悪」など、文字にしてメモをしましょう。
B:思考への反論(一度頭に浮かんだ思考に対して反論をする)
例えば、人とぶつかって自分のアイスを落としたとします。そこで”私がアイスを落とすようにわざとぶつかられた”という思考を信じると、気分は最悪、文句を言い続けるという行動に繋がってしまいます。
そこで、思考の部分に自ら反論をします。そうすると:”私がアイスを落とすようにわざとぶつかられた”に対して” そんなはずはない。ぶつかった相手の服も汚れていた”と反論します。そうすると”アイスが落ちたのは仕方がない”と思い、新しくアイスを買いなおす、というように行動が変わり、ネガティブな感情から抜け出すことができます。
②:立ち直り(ネガティブな感情から立ち直る)
立ち直りの力が強ければ、一度ネガティブな感情に陥ってもすぐに前向きに切り替えることができます。立ち直りの鍛え方は以下です。
C:代理体験(他者の成功体験を観察することで自らも成功するイメージを持つ)
例えば同じ年に入社した同僚が転職してキャリアアップしているのを見たら、「僕も転職すれば成功するかも!」と感じるなどして、成功者の行動や姿をよく観察するようにしてみるとよいとのことです。
D:褒めてもらう
折れそうな心を立ち直らせるためには、他人に褒めてもらうことが手っ取り早く有効で、自己効力感が高まります。
E:過去の成功体験の書き出し
過去の成功体験を思いつく限り書き出すという方法です。例えば「さりげなくした発言に笑ってもらえた」、「友達を手伝ったらありがとうと感謝してもらえた」、「作ったご飯を美味しいと褒めてもらった」など、大小問わず書き出しましょう。
F:小さな目標達成
例えば「毎日出社する」、「読まなくても良いから毎日本を開く動作をする」、「1日200歩は歩く」など、小さな目標を立てて達成することは自己効力感を高める手法の1つです。
G:恩人に感謝の手紙を書く
恩人に向けて感謝の手紙を書くことで、立ち直り力を高めることができるとのことです。感謝の気持ちは、ネガティブな感情を打ち消すことができるからです。手紙を書くのが恥ずかしいという方は日記をつけるのでも良いでしょう。
③:教訓化(「底打ち」と「立ち直り」の経験を自らの教訓とする)
どんな時に気分が沈んで、どうやって立ち直ってきたのかをしっかりと整理することで、似たような場面に遭遇した際に冷静に対処することができるようになります。以下のグラフを作ることで教訓化を行えます。
H:逆境グラフの記入
レジリエンスを鍛えるためには逆境グラフの記入が良いとされています。縦軸に”心の充実度”、横軸に”年齢”を入れます。心理状態の変化を線で記入したら、充実度が落ちたときはなぜ落ちたのか、そこからどうやって立ち直ったのか、その時の感情や行動をグラフに書き込んでいきましょう。そうすると、自らがどうやってネガティブ感情から立ち直ったのかを知ることができます。
長々となりましたが、上記のように取り組んでいくことで自身のレジリエンスを高め、ネガティブな感情に支配されない心を作れると良いですね。
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