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精神障害者の地域移行支援 第3回【リカバリーフロア】
こんにちは、ライフサポート・クリニックです。
3回にわたってお届けしてきた「地域移行支援」に関するブログも、いよいよ今回が最終回です。第1回では制度の概要や目的、第2回では実際の移行事例についてご紹介しました。最終回となる今回は、「相談支援専門員や相談支援事業所の役割」、そして「地域移行支援の今後の展望」について分かりやすく解説していきます。
【相談支援専門員の役割】
地域移行支援の実施において欠かせない存在が「相談支援専門員」です。
相談支援専門員は、障害福祉サービスを利用するために必要な「サービス等利用計画」を作成し、本人の希望やニーズをもとに、地域での自立した生活を支えるためのプランニングや調整を行う専門職です。
特に地域移行支援の場面では、病院や入所施設、時には刑務所などから地域生活に移る本人に寄り添いながら、
- 本人の生活歴や現在の状態のアセスメント
- 必要な支援の洗い出し
- グループホームなどの居住先探し
- 医療や福祉、就労、家族など関係機関との連携
- 移行後の継続的なフォローアップ といった、幅広いサポートを行います。
相談支援専門員は、「福祉サービスをつなぐコーディネーター」であると同時に、「本人の想いを行政や支援機関に届ける代弁者」の役割も果たしています。
【相談支援事業所の種類と役割】
相談支援専門員が所属する「相談支援事業所」には、いくつかの種類があります。
- 特定相談支援事業所 障害福祉サービスを利用するための「サービス等利用計画」の作成や、継続的なモニタリングを行う事業所です。民間のNPO法人、社会福祉法人、株式会社などが運営しています。
- 一般相談支援事業所 地域で生活する障害のある方のために、日常生活の困りごとや緊急時の対応、地域移行支援・地域定着支援などの総合的な相談支援を提供します。自治体が運営しているケースが多いですが、民間が担っていることもあります。
- 地域移行支援の指定を受けた事業所 特定または一般の枠組みの中で、地域移行支援(や地域定着支援)を担う体制を整えている事業所です。専門の人員配置や体制整備が必要となるため、すべての事業所が行っているわけではありません。
相談支援事業所は、地域の支援ネットワークの要ともいえる存在であり、障害者本人だけでなく、ご家族や医療機関、福祉事業者、行政機関との橋渡し役として重要な働きをしています。
【地域移行支援の今後の展望】
かつては「施設や病院に入っていれば安全」という考え方が主流だった時代もありましたが、近年では「地域の中で自分らしく暮らす」ことが重視されるようになってきました。
この流れを受けて、地域移行支援の重要性は年々高まっています。特に、
- 精神障害のある方の地域生活の推進
- 長期入院患者の地域移行の促進
- 刑務所など矯正施設からの出所者に対する支援 など、様々な分野でニーズが拡大しています。
しかしその一方で、
- 住まい(グループホームやアパート)探しの難しさ
- 医療と福祉の連携の不足
- 相談支援専門員の人手不足や育成の課題 といった問題も残されています。
今後は、行政の取り組みだけでなく、地域全体での協働が不可欠です。医療、福祉、司法、教育などの分野を超えた連携の中で、ひとり一人の地域生活を実現していく必要があります。
私たちライフサポート・クリニックも、こうした地域移行支援の実践に力を入れており、日々多職種の連携の中で、利用者さんの希望に沿った地域生活の実現を目指しています。
3回にわたってお届けした本シリーズが、精神障害者の地域移行について少しでも理解を深める一助となれば幸いです。
ブログ担当:スタッフH
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