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リワークプログラム紹介シリーズ⑭(前編)
即興で物語をつなぐ「リレー小説」 — テーマ『五月の夢』
今回ご紹介するのは、自己表現を楽しむプログラム「リレー小説」です。
3〜4人のチームでテーマを決め、即興で物語をつなぎながら、ひとつの短編小説を完成させていきます。 発想や表現は人それぞれですが、チームで書き進めることで自然と物語に一体感が生まれ、毎回、思いがけない展開や味わい深い作品が生まれるのが魅力です。
今回は2チームがそれぞれ異なるテーマで参加してくれましたので、2回に分けて紹介します。第1回目の今日は、テーマ「五月の夢」。季節を感じさせる、情緒豊かな物語が完成しました。 ※書き手が変わるごとに✦マークをつけています。

【チームA】
「五月の夢」
✦ 恋登り、うなぎ登り、
✦ 冷たい空気も時の流れに乗せて、少しずつ温もりを感じてきた。「もう、おでんじゃないな…」いつものように何の目的もなく、ただ惰性で立ち寄ったファミリーマートで、何となく小腹がすいたような気がしたが、それも気のせいかも知れない…。
✦ 「さてと、世間はゴールデンウィークか…さっき通りかかった赤い屋根の家、こいのぼりが元気良く泳いでいたな…こい登り、こい登り…うん?恋? フフッ、そう言えば、しばらく縁がないな…」ハヤトはそう元気なく心の中でつぶやきながら、ファミマのアイスクリーム売り場を覗いていると、ふいにポケットに入れていたスマホが震えて、メッセージの着信を知らせてきた。
✦ 「あい、ハヤト。遊ぼうぜ」悪友が連絡を寄越してきた。声が聞きたくなり、すぐに電話をかけると、聞きなれた、はつらつとした声音に安心した。「どしたん?」「なんか声聞きたくなったんだよね」「そか。俺、今からでも暇にできるよ」思いついた。「ならさ、ファミマで一緒にアイス買いまくってパーティーしよう。GW、やる事ないから、そういうのお前としたいわ」「モチのロンよ。んじゃ、お前ん家、行くから」そうして、俺の家で男二人、楽しく遊ぶ事になった。
✦ しかしその悪友が家に着くと、男二人という話だったはずが、昔俺がひそかに思いをよせていた小雪ちゃんが一緒にいた。「久しぶりだね」と小雪ちゃんが、初夏の日差しのようにキラキラと輝く笑顔で言った。すると悪友は「サプライズだ」とあざけるように笑ってみせた。
✦ 腰に下げた、わら作りの入れものから取り出したのは、テラテラと黒光りする、うなぎであった。
✦ 「う、うなぎ?!」「ああそうだよ、アイスと一緒に食べようと思って。」悪友はそう言って、奇妙な笑顔を見せた。「う、うなぎ、うなぎ…うなぎ登り…!これ、夢じゃないよな!うなぎは夢であって欲しいけど、小雪ちゃんは夢であって欲しくない!どっちなんだ〜!」こうして、ハヤトのGWは過ぎていった。
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